自作リプライセルの作り方

 

最近美容ブロガーや美容界隈で話題になっている「飲むビタミンC点滴」とも称されるリプライセルビタミンC

この記事ではそのリプライセルビタミンCの解説と実際に私が行っている自宅でできる自作リプライセルの作り方についてご紹介します。

 

 目次

 

なぜこの記事を書くに至ったか

ニキビなどの肌荒れやシミ(色素沈着)などの肌のトラブルにお悩みの方は男女問わず多いことと存じます。市販の塗り薬やサプリメント、皮膚科の薬や高額な美容商品にも手を出したけどどれも大きな効果は感じられなかった、根本的な解決には至らなかった・・・そういう方は多いのではないでしょうか?

実際に私も中学生の頃からかれこれ6年以上ニキビに悩まされており、赤くなったニキビ跡を人に見られるのがどうしても嫌でマスクなしでは外に出られないほどコンプレックスになっていました。色々と試行錯誤を繰り返しあらゆる美容商品やサプリメントに手を出しましたし生活習慣や食事にも極力気を使ってはいましたが何をどうしても肌の治安が改善することはありませんでした。

 

そんな時に出会ったのがこのリプライセルビタミンCであり、半信半疑で飲み始めたところ、おおよそ一週間で明らかかつ大きな効果を感じました。小さな面ぽう(白い皮脂のつまり)はできることがあってもそれが赤く化膿する前にどんどん角質が剥がれ落ちていき腫れたニキビができることがなくなったのです。この体験は半分絶望し肌について諦めかけていた私に大きな希望を与えてくれました。

 

しかし、Amazonや他通販サイトで販売されているリプライセルはどれも30包で5000円前後と、若い世代にとっては決して安いとは言えない価格であり、1日1包飲むと仮定して年間で6万円以上のコストになります。

いくら美容のためとはいえサプリメントに年間6万円のコストは安いとは言えません。

そうして色々と悩んでいる私にある友人がリプライセルの自作方法について記された海外の資料が存在することを教えてくれました。

今回はその資料を読んで自分なりに理解した内容を翻訳及び加筆した上で皆様に共有させていただきます。

 

 

リプライセルとは

リプライセルビタミンCとは現在はリポスフェリックの商品名で米国LivOn Laboratories社から発売されているビタミンCサプリメントです。この商品における通常のビタミンCサプリメントとの大きな違いはビタミンCをそのまま摂取するのではなく、リポソームというリン脂質の特殊な化学的構造によってビタミンCが分子レベルでカプセル化されている点です(詳しくはwikipediaリポソームの項目を参照してください)。リン脂質とは一般に総称してレシチンと呼ばれるもので全身の細胞の細胞膜の主要な成分として使用されています。このリン脂質によるカプセル化により消化過程でビタミンCが破壊されることを防ぎ、腸壁を容易に通過し、血液中に流れ込んだ後に体中の奥深くの組織までこれを浸透させることを可能とします。そしてそのすみずみまで行き渡ったリプライセルの外膜にあたるリン脂質部分が体中の細胞に細胞膜の材料として使用される際にカプセル化されていたビタミンCが外膜をはぎ取られ、放出されることであらゆる組織の深部までビタミンCを届けることを可能としていると考えられています*1

 

 

コスパ比較

(注意:下記の情報は2020/11/28時点のものを元にしたものです)

Amazonで販売されている製品版リプライセルの価格は正規輸入品で30包5500円

全体で171ml、1包5.7mlなので

5.7mlで約183.33円となり1mlあたり32.16円となります。

 

対してこのレシピにおいて使用されるリプライセルの原料の価格はそれぞれ

レシチン  1gあたり約2.80円
ビタミンC     1gあたり約1.11円
エタノール 1gあたり約4.78円
水        1gあたり約・・・知らん

であり400mlのリプライセルを作るのに必要なコストは約639.2円となります。

これは1mlあたり約1.6円となり、製品版リプライセルとの価格差は20倍にもなります。

 つまり自作することで20倍安くリプライセルを摂取することが可能ということです。

 

製品版リプライセルの1包と同じ量を毎日摂取するとして年間でのコストは

製品版 66915円
自作  3329円

(小数点以下は四捨五入しています)

となりその差は歴然です。

 

 

用意するもの

必須アイテム

・ビタミンC粉末

・顆粒レシチン

・無水エタノール

・温度計(100℃まではかれるものが望ましい)

・500mlビーカー

・キッチンスケール(0.1g単位ではかれるものが望ましい)

・水道水(契約しましょう)

 

あると便利なもの

・ガラス棒(混ぜれるものなら何でもOK、粘土が高いのでスプーンとかだと余計に付着してもったいない)

・任意のサイズのビーカー(キッチンスケールで量り取った材料を入れておくのに便利、容器なら何でもOK)

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自作リプライセルのレシピ

このレシピにおいては完成品の容量がおおよそ400mlになります。

 

準備

まず下準備としてそれぞれの材料を以下の重量分キッチンスケールなどで任意の容器に量り取っておいてください。


水      238.8g

エタノール  57.4g

ビタミンC   80.2g

レシチン   98.5g

※小数点以下は適当でいいです

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エタノール水溶液の作成 

水とエタノールを混合しエタノール水溶液を作ります。

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②ビタミンCを溶液に溶かす

①で生成したエタノール水溶液にビタミンCを溶かします。

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右の写真では温度計は20℃を指しています。

常温では完全に溶解しないため湯煎するなどして40℃前後まで温めます。

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右の写真では温度計が40℃を指しており、沈殿物がないためビタミンCが完全に溶解したことがわかります。 

沈殿したビタミンC粉末が完全に溶解したことを確認したら次のステップに進みます。

 

③溶液とレシチンを混合

②で生成した溶液とレシチンをブレンダーに入れて4分ほど撹拌します。

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②で生成した溶液にレシチンを十分に溶解させるために溶液の温度が40℃前後に温まっていることが理想的です。

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少々わかりにくいですが上の写真はブレンダーで撹拌中の混合液です。

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十分にレシチンと溶液が混ざったら一度冷蔵庫にいれて冷却します。

 

④撹拌と冷却を繰り返す

十分に冷えたらまたブレンダーで撹拌します。2~3分ほど撹拌したらまた冷蔵庫にいれて冷却します。できるだけ多くのレシチンをビタミンCと結合させるためにこのプロセスを2,3時間おきに合計で5,6回ほど繰り返します。

この時③の最初の撹拌をのぞいて液体の温度が32℃を超えないように注意してください(ブレンダーの撹拌による摩擦で温度が上昇します)。加熱しすぎるとカプセルが破壊されてしまいます。

このプロセスの完了によって溶液中のビタミンCの7割以上がレシチンと結合しカプセル化されます。


通常④のステップでリプライセルは完成ですが全てのビタミンCのカプセル化には至っていません。超音波洗浄機を用いることで100%カプセル化されたリプライセルを生成することが可能です。より完全なカプセル化を望まれる方はステップ⑤に進んでください。

超音波洗浄をお持ちでない方は⑤と⑥のステップはスキップし、ステップ⑦に進んでください。

 

⑤超音波照射による泡の除去

このステップでは混合液から泡を除去します。最後にもう一度ブレンダーで混合液を撹拌したあと、30度℃付近まで温まった混合液をビーカーにそそぎます。

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このレシピにおいては500mlビーカーが丁度よいサイズになります。

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また、上の写真のようにダンボールを適当な大きさに切って中央にビーカーの底部と同程度の半径の穴を作ることでより超音波の照射がしやすくなります。私は割り箸とセロテープを使って補強するなどしています。

混合液を入れたビーカーにラップをして超音波洗浄機の水槽に浸し30分ほど超音波を照射します。

超音波洗浄機付属の金網ネットは超音波出力が低下するため使わないことをおすすめします。

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混合液の泡がビーカー上部にたまってきたらこのステップは完了です。冷蔵庫にいれてしばらく冷却します。

 

⑥断続的に超音波を照射

より完全なカプセル化のために断続的な超音波照射を行います。混合液の入ったビーカーを超音波洗浄機の水槽に浸し混合液の温度が32℃に達しないくらいの時間幅で超音波を照射します。1回につき20分ほどが目安と考えてください。

20分程度の超音波照射が完了したら冷蔵庫で1時間ほど冷却します。混合液が累積で1時間の超音波照射をうけるまでこのプロセスを繰り返します。1回につき20分の場合は3~4回このプロセスを繰り返すと良いでしょう。カプセル化が解除されないために温度は32℃を上回らないように注意してください。

 

⑦泡を捨てて完成

混合液の上部にたまった泡をスプーンなどですくって捨てた後、タッパーや瓶などの任意の保存容器に混合液をうつして完成です。

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上の写真ではまだ泡が残っているのが確認できます。

保存は必ず冷蔵庫で行ってください。

 
このレシピにおいて作成された混合液には1mlあたり約200mgのカプセル化されたビタミンCが含まれています。これは大さじ一杯(15ml)あたり約3000mgのビタミンCが含まれていることになります。

 

用語解説

レシチン

リン脂質の総称。ある時点まではリン脂質の一つであるホスファチジルコリンのみを指す用語であったが現在ではホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、及びその他多くのリン脂質全般を指す用語として定着している。レシチン - Wikipedia

 

 

2020/11/28:詳しい用語や器具の解説や製造途中の写真については追って加筆いたします。もう少々お待ち下さい。

2021/02/15:製造途中の写真を追加しました。

 

※本記事の情報において計算の参考となっている為替レートや販売価格は全て2020/11/28時点のものであり、有為転変の宇宙においてそれらは時間と共に常に変動します。

為替レートは2020/11/28 15:00時点における1ドル(USD)104.07円(JPY)のレートを参考にしています。

また、本記事の内容を元に自作したリプライセルを販売するなどして商業利用することはLivOn Laboratories社に対する特許侵害などの法的問題に発展する可能性があります。当ブログと当ブログの著者はそれらに係るあらゆる法的問題について一切責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

 

*1:これについては現在択一的な科学的エビデンスが認められているわけではなく、別のある研究では肝臓でリン脂質が代謝され血中に栄養素が放出されるという主張もなされています。米国LivOn Labs社は両方の機序が効果に関与している可能性があることを示唆しています。